丘峰について

丘峰がある木之本町大音集落は、天正十一年に羽柴秀吉と柴田勝家が覇権を争った賤ヶ岳の麓にある集落です。その名は戦国の要衝としても知られていますが、「糸取りの里」としての歴史はさらに深く、平安時代の昌泰二年(899年)、伊香厚行が、伊香具神社境内にある湧水で繭を煮て生糸を作り、都で大変な評判になったと伝えられています。

集落を歩いてみると、あちこちで清水が流れていることに気がつきます。それは、古代から村人たちが利用してきた山の湧き水。澄んだ湧き水を使って生産される糸は良質で高く評価されてきました。今も村では、お蚕さまに桑の葉を与えて繭を育て、糸取り機で糸を引く女性たちの姿を見ることができます。

何代遡っても変わらない、暮らしの風景が残る大音。私たちは、そんな「変わらない風景」に魅せられて、築350年の古民家を拠点に2017年に「丘峰喫茶店」を開きました。地域でとれた農産物を使ったお料理、なれずしやへしこなどの発酵食、地域のみなさんとつくる出版物(能美舎)などを通して、次の世代につなげていきたい、湖北の日々の暮らしの風景をお伝えしています。